不眠症
十分な睡眠の機会があるにもかかわらず、眠れない・眠りが浅い状態が週に何度も続き、日中の生活に支障をきたす状態です。慢性化する前に対処することが重要です。
不眠のタイプ
入眠困難
布団に入っても30分〜1時間以上眠れない。思考が止まらない・不安感が高まるなどの訴えが多いです。
中途覚醒
夜中に何度も目が覚める。目覚めると再び眠れないことが多く、不眠の中でも比較的多くみられるタイプです。
早朝覚醒
希望する時刻より2時間以上早く目覚め、その後眠れない。うつ病の特徴的な症状の一つでもあります。
熟眠障害
睡眠時間は確保できているが、眠った感じがしない・疲れが取れない状態。
睡眠衛生指導(眠りやすい環境・習慣づくり)
睡眠衛生指導とは
「睡眠衛生指導」とは、薬に頼らずに生活習慣や環境を整えることで、睡眠の質を改善していく取り組みです。不眠症をはじめ、うつ病や不安障害など、多くの精神科的な疾患では睡眠の乱れが症状に影響します。当院では、診察のなかで一人ひとりの生活リズムに合わせた指導を行っています。
① 起床・就寝時刻を一定に保つ
眠れない日が続いても、起きる時間を毎日そろえることが体内時計を整える第一歩です。
② 寝床は「眠るだけの場所」にする
スマートフォンの操作や読書・テレビ視聴をベッドで行う習慣は、脳が寝床を「覚醒の場所」と学習してしまう原因になります。
③ 光のコントロール
朝は起きたらすぐに日光を浴びましょう。夜は照明を落とし、就寝1〜2時間前からスマートフォンやPCのブルーライトをなるべく避けることで、眠りを促すメラトニンの分泌が整います。
④ カフェイン・アルコールに注意
コーヒーや緑茶は午後3時以降を避けるのが目安です。アルコールは一時的に眠気をもたらしますが、睡眠の質を下げ、夜中に目が覚めやすくなります。
⑤ 適度な運動
日中の軽い有酸素運動(ウォーキングなど)は睡眠の深さを改善します。ただし就寝直前の激しい運動は逆効果になることがあります。
⑥ 眠れなければ一度ベッドから出る
20〜30分経っても眠れないときは、寝床にとどまらず、リビングで静かに過ごし、眠気が戻ってから戻るようにしましょう。「眠れなかったらどうしよう」という緊張感を和らげることが大切です。
薬物療法について
オレキシン受容体拮抗薬
依存性が低く、自然な眠りに近い状態を促します。近年広く使用されるようになった新世代の睡眠薬です。
メラトニン受容体作動薬
体内時計に働きかけて眠気を促します。依存性が低く、特に入眠困難に有効です。
注意事項
睡眠薬は医師の指示に従って徐々に減薬することが大切です。急に中止するとリバウンド不眠が起きることがあります。自己判断での服薬中止は危険です。
「眠れない」を一人で抱えないでください。不眠は慢性化するほど治療が難しくなることがあります。眠れない状態が続いている場合は、早めにご相談ください。